AIとドローンを組み合わせた海外ソリューション事例

AI×ドローンで取り組みが進む作業効率化の可能性

 

 ドローンで検知/測定した画像やデータをAIで解析する試みは、国内でも建設業界やインフラ系の測量/異常検知などで幅広く使われ始めているが、海外では国内以上に活用用途が広がってきている。今回は海外での農業と保険でのドローン/AI活用事例を見て行きたい。

 

 

1.農場における農作物の病気とその兆候把握にドローンを活用

 

 GAMAYAは農業向けドローン/AIソリューションを提供する2015年にスイスで創業されたスタートアップ企業で、将来有望な発明家を援助するスイス・エコノミー・アワード2017では、見事に賞を獲得している。

 

 GAMAYAのドローンには、通常の可視光をとらえるカメラではなく、肉眼で識別できない近赤外線/短波赤外線領域などまでを対象に非常に狭い波長域の光強度(波長スペクトル)を個々に撮影できるハイパースペクトルカメラが搭載されている。

 

 農作物は各成長段階で発する波長スペクトルが変わるが、病気になった場合も発する波長スペクトルが変化する。健康な状態の農作物、病気や栄養不足となった状態の農作物それぞれの発する波長スペクトルをAIに事前学習させることで、肉眼では識別できない農作物の状態を把握できるようにアルゴリズムを構築している。

 

 GAMAYAのAIドローンは農場を飛び回り、ドローンに搭載したハイパースペクトルカメラで農作物や畑の土壌などの写真を撮影する。

 

 この撮影された波長スペクトルを前述のAIアルゴリズムで解析し、畑の農作物の病気の発生状況や、病気の兆候を把握できるようにしている。

 

 解析結果を踏まえて、病気の発生またはその兆候がある農作物があるエリアに対して適切な肥料/薬剤の投入ができるよう効率的な農場運営を支援している。

 

 

2.建設現場でのドローン活用とその損害保険業界への応用

 

 2013年に米国で創業されたKespryはForbesやAssociated Pressなどにも取り上げられた建設業界と保険業界向けのドローンプラットフォームを提供しているドローン/AIスタートアップ企業である。

 

 ドローンの運航計画策定と建設現場で撮影した画像を解析して、建設資材の識別や、正常な屋根と損傷が見られる屋根の識別などができるように学習モデルが構築されており、建設現場の状況把握で活用されている。

 

 ここまでは国内でも建設/土木の現場で活用が試みられ始めているが、Kespryはもう一歩進んで、この学習モデルを保険会社向けに横展開して、洪水などの災害現場での被害状況把握に活用している。

 

 

3.米国保険会社オールステートでの保険向けドローン活用の事例

 

 米国イリノイ州に本部を置く保険会社オールステートは主に生命保険と傷害保険を販売しており、従業員数は3万7千人にもなる。

 

 オールステートは、2017年に発生したハリケーン・イルマとハリケーン・ハービーによる大きな被害を受けて、多くの契約者から住宅保険の保険金請求を受けたため、保険金支払いのために各住居の損壊状況を確認して保険調査を行う必要があったが、あまりにも広範囲の住居が同時に被害を受けていたため、必要な保険調査が難航していた。

 

 とくにこうしたハリケーンのような大規模災害による保険調査は調査員にとって非常に危険な作業を伴うものになっていたため、効率的な調査と調査員の危険回避のためオールステートではKespryのドローンプラットフォーム活用による保険調査を行うことにした。

 

 Kespryのドローン活用による調査では、上空から保険契約者の損壊した住居の屋根をドローンに搭載した20メガピクセルの高解像度のカメラで写真を撮影し、画像データをセンターに送信して、AIよる解析と損壊レベルの評価が行われる。

 

 事前にオールステート保険会社が保有している正常な住居の屋根の写真、損傷/損壊した住居の屋根の写真をAI学習したモデルが構築されており、撮影した写真をこのモデルで解析することで、AIが細かく損壊レベルを評価する。

 

 こうしたドローン活用による保険調査で、調査員が現場を歩き回ることによる危険を回避することができただけではなく、調査にかかる作業時間の大幅な短縮を実現している。

 

現在は調査に約75分を要しているが、将来的には約25分までの短縮していくことを目指している。

 

 

4.広がるAI×ドローンの可能性

 

 ドローン活用が国内でも徐々に進み始めているが、まだ用途は建設/土木現場での活用など限定的ではある。海外と比べて規制など様々な環境の違いがあるがドローンとAIの組み合わせによるソリューションで何を実現するか。

 

 人の目を介して行われる様々な取り組みをしている業務/作業がある企業にとっては大きな効率化の可能性を秘めていると言えるだろう。

 

 

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執筆者

株式会社ベルテクス・パートナーズ

AI/INNOVATION SOLUTIONチーム

 

大手通信会社、総合商社、大手メディア企業、クラウドベンダーなど多様な業種でのAIプロジェクトの推進支援や新規事業創出推進支援を実施。各メンバーの支援実績や知見の活用と外部パートナーとも連携しながら業種を問わず大手企業におけるAIプロジェクトを推進や、新規事業/イノベーション創出に関連するソリューションを提供。

 

監修者

株式会社ベルテクス・パートナーズ

執行役員パートナー 東條 貴志

 

スタートアップでの新規事業立ち上げや事業責任者などの経験と、アーサーアンダーセン、ローランド・ベルガーなど複数ファームでの10数年のキャリアに基づく先端領域における大手企業の新規事業・イノベーション創出支援やAI/機械学習を活用した事業創出/業務改革に多数の経験を有す。

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