海外の不動産業界に特化したAIソリューション事例

海外で進む不動産業界のAIソリューション活用

 

 国内においては小規模事業者も多くAIなどの先端技術活用の進みが遅い不動産業界ではあるが、海外においては不動産業界においても様々な形でAI活用の取り組みが進み始めている。

 

 

1.不動産特化でヒトのように問い合わせ対応するAIチャットボット

 

 Structurelyは不動産業界向けのAIを開発する米国のスタートアップ企業だ。社員数は10名程ながらも米国内に点在する不動産エージェントにサービスを提供している。

 

 Structurelyは、不動産業界向けのAI搭載チャットボットAisaを開発している。Aisaは見込み客を逃さないために開発されたチャットボットアプリで、Aisaに取り扱い物件情報を登録すると、予約管理システムと連携して、物件内見の予約や顧客の探している条件に合う物件紹介をチャットボットにより行うことが可能となる。

 

 問い合わせ内容に機械的に情報提供をするのではなく、ヒトのオペレーターが回答しているような表現を交えながら顧客からの問い合わせに自動対応する。

 

 Aisaの開発に際しては、複数の不動産会社と連携して顧客からの物件下見予約の問い合わせメールや顧客対応マニュアルなど膨大な量のデータをAIに学習させ、ヒトのオペレーターが対応するように顧客からの問い合わせの意図を読み取り、問い合わせ内容に適切な返答が返せるような不動産業界での応答に特化したAIチャットボットとして開発されている。

 

 機械的に問い合わせ内容に対して回答するだけではなく、顧客が人間味を感じられるようAisaは開発され、時折絵文字を使ったり、ユーモラスな表現を交えた回答を行うことで知らずに使っているユーザーはヒトのオペレーターが回答しているように感じられるレベルでの対応がされている。

 

 

2.AIチャットボット導入で顧客獲得率を高めた海外不動産

 

 Chubb Realtyは1981年に米国で創業されたマサチューセッツ州の住宅販売不動産エージェントで、ライフスタイルに合った丁寧な物件提案を心がけたサービス提供を信条としている。

 

 Chubb Realityでは毎日多くの問い合わせメールが届くが、スタッフの人数には限りがあり、即座のレスポンスは難しい。しかし、問い合わせに対して5分以内に返答できなければ、見込み顧客のその後の反応率が大幅に下がってしまい、十分なフォローアップも十分にできていないという課題を抱えていた。

 

 丁寧な心のこもった返答を迅速に行う方法を模索していたChubb Realtyは、よりヒトのオペレーターに近い対応が可能なAIチャットボットとしてAisaの導入を決定した。

 

 Aisaは年中無休でスタッフの代わりにメッセージの返信を行い、導入後5か月間で500件以上もの住宅購入に関する問い合わせ対応をリアルタイムに行い、チームリーダーによると、Aisa導入後は従来のオペレーターのみでの対応に比べ住宅購入につながる顧客獲得率を大きく高めることに成功したという。

 

 

3.物件売却を行う潜在ターゲットを推定するAIソリューション

 

 SmartZip Analyticsは、2008年に米国カリフォルニア州で創業されたintel capital等が投資をしている不動産業界向けのマーケティングツールの開発を行う企業だ。

 

 SmartZip Analyticsの主力製品のSmartTargetingはAI搭載のマーケティングプラットフォームで、1年以内に家を売りに出すターゲットを推定するソリューションとなっている。

 

 SmartZipは米国政府が開示している25以上の情報ソースからデータ収集を行い、膨大な量の住宅と世帯情報を保有している。その他にも不動産価格データやローンの状況、住宅保有者の金融資産などの情報、仕事、ライフステージなどのデータも取り込んでおり、総データ量は130万GB以上にもなるという。

 

 SmartZip AnalyticsのAI開発チームには統計学や経済学のエキスパートが在籍しており、7年間もの時間をかけて共同で彼らの知見を組み合わせて、前述のデータから住宅を売りに出す見込み世帯を推定するモデルを生み出した。そのモデルを基にAIのアルゴリズム開発を行い、それまでにSmartZip Analyticsが蓄積してきたデータをAIに学習させることで、住宅を1年以内に売りに出す見込み世帯を推定できるソリューションSmartTargetingを開発した。

 

 SmartTargetingを導入する不動産会社や不動産エージェントが物件確保を狙うエリアを入力すると、SmartTargetingの独自アルゴリズムにより1年以内に販売に出される確率の高い物件がリストアップされる。

 

 従来、物件確保を目指すエリアの住民に対し、ローラーで訪問営業して、売却物件の確保を行っていたが、SmartTargetingを使用することで物件を売り出す可能性が高い世帯にターゲットを絞って効率的に営業できるようになっている。

 

 

4.業界に特化したAIソリューションの可能性

 

なかなかAIなどの先進技術を活用したソリューションが使われにくい不動産業界でも、不動産に特化したチャットボットや予測系のソリューションなど様々なテクノロジー活用の取り組みが海外では大きく進み始めている。

 

 国内においては、個別に不動産系企業がAI活用を試みる例も出始めているが、こうした海外の事例などに触発されて、そこから派生した同様の不動産特化のソリューションが今後は増えていくことになるだろう

 

 

 

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執筆者

株式会社ベルテクス・パートナーズ

AI/INNOVATION SOLUTIONチーム

 

大手通信会社、総合商社、大手メディア企業、クラウドベンダーなど多様な業種でのAIプロジェクトの推進支援や新規事業創出推進支援を実施。各メンバーの支援実績や知見の活用と外部パートナーとも連携しながら業種を問わず大手企業におけるAIプロジェクトを推進や、新規事業/イノベーション創出に関連するソリューションを提供。

 

監修者

株式会社ベルテクス・パートナーズ

執行役員パートナー 東條 貴志

 

スタートアップでの新規事業立ち上げや事業責任者などの経験と、アーサーアンダーセン、ローランド・ベルガーなど複数ファームでの10数年のキャリアに基づく先端領域における大手企業の新規事業・イノベーション創出支援やAI/機械学習を活用した事業創出/業務改革に多数の経験を有す。

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