サステナビリティをテーマにスタートアップ支援を行う米Autodeskの事例

米Autodeskのサステナビリティ領域でのアクセラレータープログラム事例

 

 建築設計、CADソフトなどを提供する米Autodeskが、「Autodesk Entrepreneur Impact Program」をスタート。

 

 これまでにAutodeskでは、「Cleantech Partner program」という環境関連のソリューションを提供する企業を対象としたプログラムにより、3,000社以上のスタートアップを支援してきた実績を重ねてきた。

 

 6年間の「Cleantech Partner program」の運営を経て、プログラムをリブランディングした背景とその狙いに迫る。

 

 

1.米Autodeskがサステナビリティ領域でスタートアップ支援をスタート

 

 建築設計ソフト、CADなどのソリューション大手、米Autodeskがインドで「Autodesk Entrepreneur Impact Program」をスタートしている。

 

 これまですでに全世界のスタートアップの支援に取り組んできた実績を有する同社が、さらにインドからグローバルでのハートウェアスタートアップの支援に着手する。

 

 Autodeskのプログラムでは、クリーンテック、環境、社会課題へのソリューションを提供するビジネスに特化して支援する事を標榜してきた。

 

 参加スタートアップには、15万ドル分に相当するAutodeskのソフトウェアの使用が認められる。

 

 参加スタートアップの条件は、創業5年以内で社員が10人以下、売上100万ドル以下であることだ。事業分野は環境分野に加え、モビリティ・水・健康・エネルギーと拡大し、持続可能な社会づくりに関わるテーマで事業展開するスタートアップに支援対象を広げている。

 他のアクセラレータープログラムと異なり随時応募が可能という点も特徴的なプログラムとなっている。

 

 プログラムでは、Autodeskは参加スタートアップへの出資は行わず、プログラムを通じて開発されたプロダクトのIPもスタートアップに帰属する事もあり、プログラムを新たなプロダクト開発と成長加速に活用したい参加スタートアップにとってメリットの大きいプログラムとなっている。

 

 サンフランシスコに拠点を置くAutodeskの企業価値は、今や130億ドルにも上るとされており、グローバルでデザイナーやエンジニアにとって、なくてはならないソリューションを提供する企業となっている。

 

 デザインの力を通して世界をより良い場所にする事を理念として、Autodeskはデザイナーとエンジニアの仕事の質と効率性向上を支援することを目指してきた。

 

 テスラモーターズのEV設計や、NYの自由の女神のメンテナンス、ハリウッド映画のCG制作に至るまで、様々な場面でAutodeskのソフトウェアが活躍しており、業界を問わず幅広くデザインやエンジニアリングに関連する領域でソリューションを提供している。

 

 

2.6年間のスタートアップ支援プログラムの運営を経てプログラムを革新

 

 自社プロダクトをマーケットでテストするだけの力とリソースがないスタートアップを支援するプログラムとしてAutodeskが2009年にスタートしたのが、「Cleantech Partner program」だった。

 

 名前の通り、クリーンテックや環境ビジネスを対象事業展開しているスタートアップ支援に特化したプログラムだ。

 

 このプログラムを通して、6年間で支援したスタートアップの数は3,000以上。北米やヨーロッパ、イスラエル、中国、日本、オーストラリア、NZと世界中のスタートアップを対象に支援を行ってきた。

 

 環境分野のスタートアップ支援に長年取り組んできたAutodeskが、より幅広い分野のスタートアップを支援しようとリブランディングされたプログラムが、「Autodesk Entrepreneur Impact Program」だ。

 

 このリブランディングは、2015年にパリで開催されていたCOP21(気候変動枠組条約第21回締約国会議)の開催期間に発表された。

 

 Autodeskはプログラムのリブランディングを通して、アフリカや東アジア、インドとより多様な地域で、様々な事業領域のスタートアップを育てていく動きを後押ししていきたいとしている。"

 

 

3.サステナビリティへの取り組みを将来のビジネス拡大につなげる

 

 Autodeskが発表したインドでの「Autodesk Entrepreneur Impact Program」では数多くのスタートアップの支援を行ってきているが、選出されたスタートアップは、例えば以下のようなスタートアップだ。

 

  FiasTech

燃料補給の際の無駄を省き、エネルギーの効果的な活用を促すソリューションを提供

 

  Arcatron Mobility

プロダクトデザインでAutodeskのソフトウェアを使うユーザーに、モデリングやテストのデザインを助けるサービス

 

  Kabadiwalla Connect

リサイクル素材で作られたストレージ製品の提供

 

 Autodeskがプログラムを通して目指している狙いは、CSRの延長としてのブランディングイメージの向上、そして自社ソリューションの顧客基盤の拡大だ。

 

サステナビリティに関わるスタートアップを支援することで実現される社会貢献的な効果と、今後、大きく増えて来るであろうサステナビリティ関連の領域でビジネスを行うスタートアップを潜在的な自社ソリューションの顧客として、早期に関係構築を行うことで顧客基盤を拡大といった効果も狙った新しい動きと言える。

 

 Autodeskが目指すのは、例えば、電気自動車でクリーンテック企業と捉えることもできるテスラモーターズようなサステナビリティ関連の領域でユニコーンとなり得るスタートアップを発掘し、早期にパートナーシップを結んで支援をしていくこととも言える。

 

 こうしたCSRと将来的な有望スタートアップの発掘・支援を行う取り組みがビジネスの拡大に貢献し得るのか、Autodeskの取り組みの成果は社会貢献とビジネス拡大の二兎を追うことを目指すプログラムが成立するのかを見極める試金石になるだろう。

 

 

 

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執筆者

株式会社ベルテクス・パートナーズ

INNOVATION SOLUTIONチーム

 

大手通信会社、総合商社、大手メディア企業、クラウドベンダーなど多様な業種での新規事業創出推進支援を実施。各メンバーの支援実績や知見の活用と外部パートナーとも連携しながら業種を問わず大手企業における新規事業/イノベーション創出に関連するソリューションを提供。

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