米Chobaniが食品ベンチャー企業と目指す新たな製品カテゴリ創出の取り組み事例

ミッションとスケールの両立を目指すヨーグルト会社Chobani

 

  アメリカでギリシャヨーグルトを展開するChobaniが、2016年に「食」×「Social Good」をテーマとしたインキュベーションプログラムをスタートした。

 

 競争の激しいヨーグルトや食品業界において、いかにミッションを失わずに成長を目指すか。

 

 有望な食品ベンチャー企業を支援するインキュベーションプログラムChobani Food Incubatorの実施背景を探る。

 

 

1.ギリシャヨーグルトブームの火付け役Chobani

 

 Chobaniは、アメリカでギリシャヨーグルトを展開する会社として知られる。ギリシャヨーグルトとは、通常のヨーグルトに加えて「水切り」という行程を経たヨーグルトだ。

 

 ギリシャで日常的に食べられており、濃厚でクリーミーな食感があり、かつタンパク質が通常の2倍含まれるという。

 

 このギリシャヨーグルトをNYへと紹介して展開し、アメリカで当たり前に食べられるようにした立役者が、Chobaniだ。

 

 Chobaniはアメリカのヨーグルト市場でのシェア拡大を続けている。2016年5月時点におけるデータでは、過去1年間で、アメリカのヨーグルト全体の市場において、市場シェアが17.6%から19.4%まで拡大している。

さらにギリシャヨーグルト市場に限るとシェアは33.4%から36.2%へと拡大を続けているのだ。

出典:Foodnavigator-usa.com

 

 

2.ミッションを失わずに急成長を目指す

 

 アメリカのヨーグルト市場は、1年で実に800種類ものヨーグルトが新発売される競争の厳しい市場だ。最大手のダノンもAIで販売促進に着手するなど、競合他社も様々なイノベーション創出の取り組みを行いながら市場シェアの拡大にしのぎを削っている。

 

 そのようなマーケット環境において、Chobaniはいかにして生き残りを図ろうとしているのだろうか?

 

 Chobaniはギリシャヨーグルト市場拡大に向けて製品の多様化を行うことを目指し、多彩なフレーバーの開発、ヨーグルト・ドリンクの発売、ディップ式の提案に加えて、近年では自社製品を扱うカフェの展開も進めている。

 

 こうした様々な取り組みが、ヨーグルト市場全体におけるChobaniのシェアの伸びへとつながっているのだ。

 

 そしてChobaniが、事業を拡大しながらも大切にし続けているのが、「ミッションを失わずにスケールする」という姿勢だ。

 

 Chobaniは創業時から、材料へのこだわり、栄養価の高い美味しいヨーグルトを届けるというミッションを大切にしており、ベンチャー企業でも社会に大きな変化を与えられる事を強調してきている会社だ。

 

 

3.Chobani Food Incubatorで食品ベンチャー企業を支援

 

 そんなChobaniが、Chobani Food Incubatorをスタートさせた。プログラムのテーマは、「Social Good」を志向することだ。

 

 ソーシャルグッドと食をテーマとして食品ベンチャー企業を支援するプログラムであり、Chobaniは株式を持つことを前提とはしないため、CSRの要素も含んだプログラムとなっている。

 

 これは、Chobaniの「小さいスタートアップでも、大きな変化を生み出せる」というミッションをさらに押し進めるためのプログラムで参加する食品ベンチャー企業とともに、自然食品のムーブメントを起こし、人々により良い食品を届ける事を目指している。

 

 プログラムは2016年10月から2017年3月まで行われており、6ヶ月のプログラムに参加する食品ベンチャー企業は、Chobaniや業界の専門家からのアドバイス、25,000ドルの助成金、Chobaniオフィスや工場の利用や、展示会への出展などが可能となる。

 

 

4.選出された食品ベンチャー企業6社

 

 ここでは、第一回のChobani Food Incubatorに選出された6社を紹介していこう。

 

  Banza

タンパク質の高いひよこ豆を用いたパスタを提供するなどして、人々に栄養ある材料を用いた食事の提供を実現する会社。すでに4,500店舗を展開するパスタブランドであり、TIME誌の2015年の最もイノベーティブな会社25社に選出されている。

 

  Jar Goods

忙しい中でも丁寧な食事を怠りたくない人々に向けて、より容易な食事の準備を提案する会社。自然食品の材料を用いた各種食事を提供している。

 

  Chops

ビーフジャーキーの会社。これまでのジャーキーの概念を覆し、柔らかくてしっとりとした、自然な材料のビーフを用いている。

 

  Cissé Cocoa Co.

小さな農園からのみ仕入れたココアを扱う会社。透明なサプライチェーンを公開しており、農園と消費者が共に繁栄できるモデルを提示している。

 

  Kettle & Fire

自然な材料を用いた牧畜から作られた健康な食品を提供。骨スープの素など各種食品を展開している。

 

  MISFIT Juicery

フルーツや野菜を用いたコールドプレスジュスを提供する会社。通常破棄されてしまう材料を用いて、美味なコールドプレスジュスを作っている。

 

 

5.インキュベーションプログラムを通じて商品カテゴリー拡充へ

 

 Chobaniが、Chobani Food Incubatorを開催するのは、新たな商品カテゴリーでの事業拡大を目指してのことである。

 

 これまでに、特にギリシャヨーグルト分野での成長を続けてきているChobaniだが、「こだわりの食を届ける」というミッションをもとにした商品の多角化を狙っている。

 

 その事業パートナーの発掘という役割を担っているのが、Chobani Food Incubatorだ。プログラムでは、自社のミッションに沿った食品ベンチャー企業に、自社の流通チャネルや、生産設備を提供している。スタートアップの商品の製造や販促支援を行いながら、やがてはChobaniとしての商品ラインナップの拡大へとつなげていく狙いが垣間見える。

 

 有望な食品ベンチャー企業を支援するインキュベーションプログラムを活用して、自社製品カテゴリー周辺への事業展開を狙うChobani。メンタリングのみではなく、流通や生産などのリソースを実際に提供する事で、製品カテゴリ拡充を目指す新たな動きとして注目を集めている。

 

 

 

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執筆者

株式会社ベルテクス・パートナーズ

INNOVATION SOLUTIONチーム

 

大手通信会社、総合商社、大手メディア企業、クラウドベンダーなど多様な業種での新規事業創出推進支援を実施。各メンバーの支援実績や知見の活用と外部パートナーとも連携しながら業種を問わず大手企業における新規事業/イノベーション創出に関連するソリューションを提供。

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