保険業界で地域別イノベーションラボで新サービス開発を進めるマニュライフ

カナダ保険大手マニュライフがフィンテックで目指す顧客志向サービスの進化

 

  法規制からイノベーションの動きが遅かった保険業界で、フィンテックによるスタートアップの進出が相次いでいる。

 

 カナダに本拠地を置く保険会社マニュライフは、シンガポールにイノベーションラボを設置すると発表した。

 

 目指すのは、スタートアップとの協業によって、既存の保険事業をより顧客志向の新サービス開発を行うことだ。動き始めた保険業界のフィンテックの動きを紹介する。

 

 

1.保険業界でフィンテックの取り組みが加速

 

 金融業界において、次のイノベーションを牽引するトレンドとして注目されてきたフィンテックだが、保険領域ではその複雑な法規制が障害となり、フィンテックの動きは銀行業界などと比べ遅いとされてきた。

 

 特に、国の社会保険が充実していない北米のような地域では、民間の保険会社は特に強く、依然として高い競争力を維持してきた。

 

 しかし近年になって大手保険会社の動きに変化が表れてきている。先端技術を用いて金融・保険業界へ参入するスタートアップが相次いでおり、大手保険会社も変化を迫られているのだ。

 

 本記事では、自社事業の進化を目指してフィンテック分野での協業に着手しているマニュライフの事例をもとに、保険分野のフィンテック事業の展開について見ていこう。

 

 

2.マニュライフがシンガポールにイノベーションラボを設置

 

 これまで保険会社のフィンテック推進には多くの障害が存在しているが、中でも国ごとに異なる法規制がグローバルで事業展開を行う保険会社にとって、国ごとの個別対応が必要なり、なかなか本腰を入れてフィンテックの取り組みが進められない障害となってきた。

 

 国ごとの社会保険制度の違いによって、保険業界での新サービス開発を進めるに際しての法規制も異なり、大手保険会社は各国ごとに新規サービス展開の方法を個別に考える必要に迫られてきた。

 

 これに対して、カナダを拠点としてグローバルに保険事業を展開してきたマニュライフは、各地域にイノベーションラボを設置して新たなサービス検討を行うことで、その課題を乗り越える動きを模索している。

 

 マニュライフのイノベーションラボ、Lab of Forward Thinking (LOFT)は、シンガポールへの進出を発表したが、拠点はトロント、ボストンに続いて3カ所目の設置となる。

 

 LOFTは、ブロックチェーン等の先端技術を用いて、顧客体験の改善を狙うインキュベーターであり、現地のスタートアップを育成し協業して新サービスの開発と展開を行うことを狙っている。

 

 ローカルでの展開を前提としているスタートアップは、すでに各地域での法規制に応じた新サービス開発を進めており、協業によってそのノウハウを獲得していく狙いがあると考えられる。

 

 

3.ブロックチェーン関連スタートアップとの協業を相次いで発表

 

 マニュライフは、イノベーションラボの設置のみでなく、実際にブロックチェーンの技術を活用したサービスを展開するスタートアップとの協業を発表して、新たなサービスの開発に着手している。

 

 2016年には、ConenSysBlockAppsとの恊働を発表。2社が有しているブロックチェーン技術を活用して、新規顧客獲得プロセスの革新を狙っている。

 

 具体的には、富裕層向けの資産運用サービスの顧客獲得プロセスへの活用を始める予定だという。

 

 さらに、AI分野でNervana Systemsと、Indico Data Solutionsとの恊働を発表。2社が持つAI技術とディープラーニング技術を、投資分野のリサーチへと応用する恊働事業をスタートするという。

 

 

4.顧客志向を徹底するためにテクノロジーを活用

 

 保険分野へのスタートアップ進出が相次ぐにつれて、保険テックに対する注目度も高まっている。中でも、ビッグデータ/AI分野、ブロックチェーン、API分野が有望テーマだとされている。

 

 ここで注目するべきなのは、こうした先端技術活用したサービスを展開するスタートアップが必ずしも既存の保険事業者との食い合いを意味するわけではないという事だ。

 

 前項で取り上げた通り、先端技術を扱うスタートアップと大手保険の恊働は十分に可能だ。 マニュライフアジア社長のRoy Gori氏も語るように、マニュライフは、先端技術は既存事業をより顧客志向を徹底したサービスへと進化させるためのツールであると位置づけている。

 

 マニュライフは各国の複雑な法規制を、イノベーションラボの各地域への展開によって、それぞれの国の法規制に合わせたサービス開発をスタートアップと目指している。制約の多い業界において、各地域でのイノベーションセンターを設置して、国ごとの法規制/商慣習に合わせたイノベーション創出を進める取り組みはグローバルでのイノベーション創出を目指す企業にとって有効な取り組みとなるだろう。 

 

 

 

前の記事へ  BLOG TOPへ  次の記事へ

 

 

執筆者

株式会社ベルテクス・パートナーズ

INNOVATION SOLUTIONチーム

 

大手通信会社、総合商社、大手メディア企業、クラウドベンダーなど多様な業種での新規事業創出推進支援を実施。各メンバーの支援実績や知見の活用と外部パートナーとも連携しながら業種を問わず大手企業における新規事業/イノベーション創出に関連するソリューションを提供。

Share on Facebook
Share on Twitter
Please reload

特集記事

RPAの次はナレッジワークの生産性向上。Narrative ScienceのAIソリューション

2018/03/06

1/10
Please reload

最新記事
Please reload

AI/機械学習活用や
イノベーション/新規事業創出/業務改革のご支援についての
サービス詳細やご相談は
下記よりお気軽にお問い合わせください
メールでのお問い合わせはこちらから
info@vertex-p.com