Veoliaが取り組む長期に渡るスタートアップ企業とのイノベーション創出プログラム

仏水処理大手Veoliaのアクセラレータープログラム「U-START」の事例

 

 仏の上下水道管理などを行う水処理大手Veoliaが、EIT InnoEnergyと協働してアクセラレータープログラム「U-START」をスタートした。

 

 エネルギー分野に特化したプログラムを通して、5社のスタートアップ企業を選出し、2年間の協業期間を経て事業化を目指す。

 

 長い協業期間を通してイノベーションの共創を目指すプログラムの内容を探る。

 

 

1.仏水処理大手Veoliaが「U-START」を実施

 

 仏水処理大手のVeoliaが、ドイツにて水関連の事業領域に特化したイノベーション創出を目指すアクセラレーター「U-START」を実施する。

 

 2017年3月31日を締切として参加スタートアップ企業の募集を行っている。

 

 U-STARTは、循環経済、気候変動への対応といった分野での事業創出を目的としており、Veoliaとの協業によるイノベーション実現に取り組むプログラムとなっている。

 

 Veoliaは、水事業、エネルギー事業、廃棄物処理事業の3つの事業を展開しており、世界格国の自治体や企業向けに様々なソリューションや関連施設運営などのサービスを提供している。グローバルで17万人を超える従業員を抱え、249億ユーロを超える収益を上げている。

 

 本プログラムでは、Veoliaはプロトタイプのサービス展開時の施設提供などの支援、ディストリビューションチャネルの提供等、製品・サービスをグローバルに拡販する際の支援を掲げており、既にサービスを確立しつつあるスタートアップ企業が、そのサービス拡大を目指す上で非常に魅力的なプログラムとなっている。

 

 プログラムではVeoliaとの協業期間が2年間と設定されており、通常3ヶ月程度のアクセラレーターとどのような違いがあり、どのような利点があるのか、以下見ていきたい。

 

 

2.欧州エネルギー領域支援のイノベーション創出機関EITと協業

 

 本プログラムの実施にあたっては、VeoliaはThe European Institute of Innovation and Technology(EIT)InnoEnergyと協業で運営をしている。

 

 Veoliaとして2年間という長い協業期間にコミットする以上、質の高いスタートアップ企業の選出と育成は至上命題だ。

 

 そこでエネルギー分野でのインキュベーション支援のノウハウを豊富に有するEITのInnoEnergyと恊働で運営を行う事となった。

 

 EITは欧州のイノベーション創出能力の底上げを目標として掲げてEUの一機関として2008年に設立された組織だ。持続的な発展と競争力の獲得のため、アイデアから製品化のフェイズにおける様々な起業家支援を行っている。

 

 EITは三つの組織から構成されており、気候変動への対応を目指すClimate KIC、ICT技術の取り組み強化するEIT ICT Labsを運営しており、3つ目の持続可能エネルギーの推進を担うのがInnoEnergyだ。InnoEnergyは、エネルギー創出コストを下げる手法、安全性の確保CO2排出の抑制といった分野で実績がある。

 

 

3.アクセラレータープログラム「U-START」の概要

 

 次に本プログラムの内容を見ていこう。本プログラムのテーマとして掲げられているのは、エネルギー効率向上、代替エネルギーの推進、低炭素経済促進といった分野だ。

 

 中でもエネルギー管理におけるデジタル領域の技術活用といった分野が模索されている。

 

 すでに160程度のスタートアップ企業への支援実績を持ち、サステナビリティ領域で欧州最大級のアクセラレーターとなっているInnoEnergyの知見を活かして、本プログラムでは、サービス/プロダクトのコンセプトの検証、実証実験、製品化までのプロセスが支援される。

 

 既に本プログラムの支援を受けたスタートアップ企業の一例としては、ライプツィヒを拠点とする社会的企業のbineeがある。浪費を資源に変えるため、デバイスをリサイクルに出すと商品券がもらえるリサイクルシステムを開発。そのパイロットテストにおいて本プログラムの支援を受けている。

 

 プログラムでは、生活面の支援、ビジネス・法務支援をKIC InnoEnergyから受けており、Veolia Germanyからは実務面のメンタリング、製品の実証の支援を受けたという。

 

 

4.2年間の協業期間を通して事業化を目指す

 

 U-Startプログラムの最大の特徴は、2年間という長期に渡る協業期間が設定されている事だ。通常のアクセラレーターは3ヶ月~6カ月という支援期間の設定が多く、アイデアから最初のプロトタイプを作るまでのプロセスを支援対象とすることが多い。

 

 U-Startのプログラムでは、すでにプロトタイプが完成しているか、プロダクト/サービスが立ち上がっており、Veoliaの知見とネットワークを活かして、プロダクト/サービス投入を行うことができるレイトステージのスタートアップ企業が対象となっている。

 

 とくにU-Startが対象とする水関連の分野では、製品化/サービス化にあたっては、プロトタイプの改善、ビジネスモデルのブラッシュアップにじっくり時間をかけることが必要となることから、2年間という長い期間が設定されている。

 

 VeoliaとEIT InnoEnergyの協業は、一回目のプログラムの取り組みを踏まえて、すでに二度目のプログラム参加スタートアップ企業の募集に入っている。

 

 従来の短期集中でのプロダクト/サービス成長を支援するアクセラレータープログラムと一線を画する2年間もの長期に渡る支援期間を設ける本プログラムは、水関連領域に限らず長期的な取り組みが必要となるインフラのような領域における、大企業との協業推進を目指すアクセラレータープログラムの事例として、今後の成果が注目されるモデルケースとなりそうだ。

 

 

 

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執筆者

株式会社ベルテクス・パートナーズ

INNOVATION SOLUTIONチーム

 

大手通信会社、総合商社、大手メディア企業、クラウドベンダーなど多様な業種での新規事業創出推進支援を実施。各メンバーの支援実績や知見の活用と外部パートナーとも連携しながら業種を問わず大手企業における新規事業/イノベーション創出に関連するソリューションを提供。

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