AIロボで小売店舗の在庫棚卸/欠品管理を自動化するBossa Nova Robotics

小売店舗の在庫棚卸/欠品管理の負担を軽減するAIロボット

 

 小売店舗におけるAI/機械学習の活用の試みはここ数年進み始めており、カメラ、各種センサーを活用した来店検知、性別年齢などの属性把握や、来店者の動線解析、ヒートマップによる手に取った商品把握など様々なソリューションが導入されている。

 

 さらに最新の取り組みとしてはAmazon Goなどに代表されるレジの無人化といったソリューションがホットトピックスになっている。

 

 いずれのソリューションも多くは来店客に気付かれない形でカメラやセンサーなどを設置して来店者や商品の動きを検知して様々な処理を行っている。しかし、どのソリューションも大規模な店舗ではカメラ、センサーの設置コストが大きくなることに加え、商品の棚卸/欠品管理は従業員が行う必要があり、店舗従業員のオペレーション負担の大きいこれらの業務は効率化を実現できるソリューションは見当たらない。

 

 そんな大規模店舗の商品棚卸/欠品管理をAIロボの力で実現しようというスタートアップが米国で急成長の兆しを見せている。

 

 

1.店頭在庫の管理に店頭でAIロボを走らせるBossa Nova Robotics

 

 米国Bossa Nova Roboticsは、小売業向けにAI搭載ロボットを開発するスタートアップ企業だ。小売業界向けのロボットを開発するスタートアップは少なくないが、Bossa Nova Roboticsのロボットは一味違う。

 

 これまで多く見られるロボットは、来店客がいない倉庫や生産現場での活用を想定して提供されている。しかしBossa Nova Roboticsのロボットは、小売店舗内の来店客も従業員もいる環境で活動することを想定して開発されている。

 

 ロボットにはLIDARとカメラが搭載されており、クルマの自動運転同様にレーザーで顧客や商品棚などの障害物を認識して停止/回避を行うためぶつかることはない。

 

 さらにロボットにはAIが導入されており、カメラを通じて得た商品棚の画像をAIが分析・解析し、商品の位置・値段・在庫数などの状態を把握する。AIで得た情報は店舗のマネジメントシステムに送られる。

 

 ロボットが店内を巡回して得た店頭の商品在庫の情報を基に、必要な作業をスタッフに指示して在庫補充などを行えるようにしている。

 

 

2.米ウォルマート50店舗で取り組みが始まったAIロボの店頭在庫管理

 

 米国ウォルマートは世界最大級のスーパーマーケットチェーンだ。ウォルマートはBossa Novas Roboticsとパートナーシップを結び、全米50店舗でロボット導入の実証実験を実施している。

 

 ウォルマートがロボットを導入した理由は、各店舗で抱える莫大な商品数の管理負担軽減にある。各店舗は何千という商品を取り揃えており、人間の手で商品の棚卸/欠品補充を行うことは大きな負担となっていた。

 

 さらに同じ商品でも店舗ごとに異なる価格設定が行われている場合、それらを本社で把握して比較した上で、価格政策を修正することは非常に難しいという実態があった。それらをロボット活用することで店頭商品の在庫と価格データを収集することで実現できる可能性がある。

 

 Bossa Novas Roboticsのロボットを導入したウォルマートの店舗では、ロボットが店内を移動しまわり、赤外線センサーとカメラを駆使して商品棚の商品在庫と値段をスキャンする。

 

 スキャンしたデータを基に、独自のAIアルゴリズムを用いて店頭の商品在庫数を把握。欠品しそうな商品は、店のマネジメントシステムに知らせるて従業員が必要な数の商品を補充する。

 

 

 ウォルマートによると、Bossa Novas Roboticsのロボットは人間よりも50%効率的に仕事をしており、ロボットが商品棚をチェックするスピードは人間よりも3倍速く、正確性もずっと高いという。

 

 しかし、在庫補充に関しては人の手で行う必要があり、ロボットが完全に店舗の従業員を置き換えるのではなく、協働または補完するツールとして活用されていく形になるのであろう。

 

 

3.ヒトではなくロボットが動き回る小売店舗の未来

 

 小売におけるAI活用の話題としてはAmazono Goなどのレジ無人化/店舗無人化に注目が集まるが、来店客対応の完全無人化が対応した次に目を向けると、棚卸/欠品把握の無人化が次の自動化対応の対象となるだろう。

 

 これまでは店舗の従業員が定期的に店舗を巡回して、欠品把握と補充を行っており、棚卸もRFIDの普及が進まない状況下では、目視確認で多くの時間を要する作業となっている。これらをロボットに任せることができれば、店舗の従業員は接客などの付加価値業務に注力することができる。

 

 特にカメラやセンサーを店舗内にくまなく設置することが困難な大規模店舗においては大きな効果を発揮するだろう。

 

 小売店舗向けのAI/ロボットソリューションもかなりの業務量領域をカバーするソリューションが国内外で出揃い始めている。1年ほど前では難しかった取り組みも、実現できることが増えており、このタイミングで改めて自らの店舗/店頭でのAI/ロボット活用による課題解決の可能性について考えてみてはどうだろうか 。 

 

 

 

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執筆者

株式会社ベルテクス・パートナーズ

AI/INNOVATION SOLUTIONチーム

 

大手通信会社、総合商社、大手メディア企業、クラウドベンダーなど多様な業種でのAIプロジェクトの推進支援や新規事業創出推進支援を実施。各メンバーの支援実績や知見の活用と外部パートナーとも連携しながら業種を問わず大手企業におけるAIプロジェクトを推進や、新規事業/イノベーション創出に関連するソリューションを提供。

 

監修者

株式会社ベルテクス・パートナーズ

執行役員パートナー 東條 貴志

 

スタートアップでの新規事業立ち上げや事業責任者などの経験と、アーサーアンダーセン、ローランド・ベルガーなど複数ファームでの10数年のキャリアに基づく先端領域における大手企業の新規事業・イノベーション創出支援やAI/機械学習を活用した事業創出/業務改革に多数の経験を有す。

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