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執筆者の写真東條貴志/Takashi Tojo

多くの企業がぶつかるAI活用プロジェクト推進の課題


多くの企業で推進が進むAIプロジェクトの課題

 これまで様々なクライアント企業のイノベーション/新規事業創出支援に取り組んで来ましたが、昨年よりAIを活用した事業創出や業務改革についてのお問い合わせをいただくことも多くなってきました。

 弊社でもAI活用した事業創造/業務変革の支援にフォーカスしたソリューションの開発なども進めており、AIを自社の課題解決に活用することを推進している企業への支援体制を強化しています。

 本ブログではこれまでAI活用を検討する企業やソリューションを提供するAIスタートアップ/ベンダーとの議論の中で見えてきた、AIプロジェクトの課題と処方箋についてビジネスサイドの目線から現時点の考え方/アイデアを五月雨ではありますが情報発信をさせていただき、自社へのAI活用を推進する企業担当者様の取り組み推進の一助となればと思います。

1.AIプロジェクトの取組み動向

最近ではメディアでAIの記事が目に入らない日はないほどに話題とされていますが、本格的に具体的なプロジェクトとして相談を受ける機会が増えてきたのは2017年の春頃でしょうか。

 既に自力で先進的な取り組みを進める企業を除くと、「AIを活用して何かできないか?」、「こういう事業課題の解決に取り組みたいのだが、使えるAI/機械学習のソリューションはないか?」といった獏とした相談が多く、AI/機械学習導入の前に課題の整理や、AI/機械学習だけではなく他の手段による課題解決の実現の検討からご提案をさせていただくケースが大半となっています。

 AIスタートアップがAI活用を検討する企業から受ける依頼でも課題の明確でないものが多く、なかなか本導入まで進めていない案件が多く存在していることがAIスタートアップへのアンケートでも浮き彫りになっています。

2.AIプロジェクト推進で観られる典型的な課題

 これまでのAI活用を検討する企業との議論で出て来たAI活用プロジェクトを進める上での課題を整理していくと、企業規模や業種を問わず、概ね6つのパターンに集約されると感じています。

 AI活用プロジェクトを本当に意味ある成果が出させる取り組みとしていくためには、推進しようとしているプロジェクトが典型的な地雷とも言うべき課題を克服できるように準備ができているかを確認することが必要です。

【典型的なAIプロジェクトの課題】

全く要件を固めることなくとりあえずAIという形で検討スタートして頓挫

トップダウンでのAI活用を検討しろという指示が下りてきたが、何のためにやるのかが明確ではないため何も始められない、または他社の取り組みに追随しようとするが課題感が合わずにプロジェクトが進まない。

ありもののデータで何かできるという期待の下でスタートしたが何も成果が出ず

実現したいことが明確でないままデータの解析を試みてみたが、データの整備が不十分で解析結果の精度が実用に耐えない、解析結果が何に使えるのか分からず、何も成果が出せないままプロジェクトが進行してしまう。

要件を固めることに時間とエネルギーを注ぎ過ぎてしまいプロジェクトが進まない

上記とは逆に課題から何をするか緻密な課題整理/要件検討を行おうとしてしまい、技術検証の前の机上での要件固めに時間を使いすぎてしまい、思うようにプロジェクトが進まない。

たまたま見つけたスタートアップを比較せず取り組み開始したが技術力不足で成果が出ず

とりあえず実成果を出すべくできるところから始めるために、よさげなソリューション/技術を持つスタートアップに声がけを行い、先進性に盛り上がって取り組みをスタートしたが、実現したい課題を解決するには技術力が不足しており、取り組みが途中で頓挫してしまった。

プロマネ人材がなくベンダーの言いなりとなってしまって期待と違うものができてしまった

プロジェクトをたちあげたものの、プロジェクトマネジメントの経験がある人材が社内にいないために、ベンダーに任せきりで要件の具体化と開発を任せてしまって出来上がったソリューションは全く期待していたものと違うものになってしまった。

現場の巻き込みができず、開発したAIソリューションが理解されない/使われない

AI推進チームでAIスタートアップ/ベンダーとも議論を重ねてAIを活用した業務効率化を実現するシステム開発を行ったが、いざ導入を図ろうとしてみても、現場の担当者が既存業務を変更することによるリスクを嫌い、協力を得られず活用されないシステムとなってしまった。

 AI活用プロジェクトの取り組み対象は様々ありますが、プロジェクトを新たに始める/取り組みを深めていくためには、少なくとも上記の課題をクリアできるように準備を行った上でプロジェクトを推進していく必要があるかと思います。

3.AIプロジェクトを成功裏に進めるために

 AI活用の取り組みは各社まだ始めたばかり、もしくはこれからというところが大半かと思われますが、弊社がこれまで様々な企業とのプロジェクトや議論を重ねることで蓄積してきた知見を基に、前述の課題を克服してAI活用を前進させるための考え方/アイデアを公開していきたいと思います。

 弊社の知見に基づくアイデアや考え方だけではなく、海外のAI活用事例、AIソリューションの動向などを紐解いていきながら、このブログの場で、これからのAI活用を円滑に進めていく方法を検討している企業の担当者のお役に立てる情報提供できればと思います。

 

執筆者

株式会社ベルテクス・パートナーズ

執行役員パートナー 東條 貴志

スタートアップでの新規事業立ち上げや事業責任者などの経験と、アーサーアンダーセン、ローランド・ベルガーなど複数ファームでの10数年のキャリアに基づく先端領域における大手企業の新規事業・イノベーション創出支援やAI/機械学習を活用した事業創出/業務改革に多数の経験を有す。

 

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