AI活用により人材開発の効率化/高度化を目指すソリューション

ビジネス課題の多様化に伴う人材開発の大きな課題

 

 国内において、昨今の採用難や人材流動性の高まりによる離職増大などにより人材開発/リテンションの重要度はこれまでになく高まっている。

 

 一方でこうした環境の急激な変化への対応が人事や現場の育成を担当するマネジャークラスで十分にできていないというのが現状ではないだろうか。

 

 こうした人材開発/リテンションの取り組みでのAI活用の可能性について海外ソリューションの事例を見て行きたい。

 

 

1.マネージャーの育成に活用されるAIソリューション

 

 Appynest, Incは、2014年に米国のニューヨークで創業され、Butterflyと呼ばれるコーチングAIソリューションを開発している。まだ創業から4年程度ではあるが、ウォルマートやGEなど大手企業ともパートナーシップを結ぶなど注目されているスタートアップ企業である。

 

 Butterflyはマネージャー/リーダーのスキル向上を支援するパーソナルAIで、チームメンバーが抱える不満や要望をマネージャーに共有し、それらの内容に合わせて必要な対応が学べるコンテンツをマネージャーに提供する。

 

 このAIソリューションはSlack等のメッセージングアプリと連携も可能で、マネージャーが迅速に対応を学べるような仕組みとなっている。

 

 Butterflyには事前に様々なビジネスシーンで発生する課題に合わせた対処方法や関連するウェブ記事などが学習されたモデルが構築されており、マネージャー/リーダーが直面している問題に合わせた解決策や学習コンテンツを提示できるようになる。

 

 Butterflyでは、チームメンバーにアプリなどで職場環境や仕事への満足度などについて定期的に簡単なアンケートに答えてもらい、アンケート結果をマネージャーのみがアクセスできるダッシュボードで確認できる。

 

 この回答結果をAIで解析して、マネージャーの問題を特定し、それらに合わせた問題解決策や学習コンテンツを提示する。

 

 例えばアンケートで「職場環境に不満を感じている」と回答するメンバーが多ければ、職場改善を行うための学習コンテンツやアドバイスを提供する。 Butterfly のAIにより、定期的にマネージャー/リーダー以下のチームの健康診断を行って問題を明確にし、その対応を学習するコンテンツとアドバイスに基づいてチームの改善をリーダーが継続的に取り組むことで、職場環境の改善と、マネージャーの成長を目指すソリューションとなっている。

 

 

2.社員の必要な知識/知見提供の自動化を目指すAIソリューション

 

 2015年、米国マサチューセッツ州でTallaは創業された。創業者のRob Mayはデジタルデザインエンジニア(プログラミングコード作成からウェブデザインまで行う)としてキャリアをスタートさせ、Businesspundit.comという世界中のビジネス情報をテーマにした人気ブログを5年間運営したのち、エンタメ系ブログPopcrutch.comを運営していたRyan Caldwellに売却したというユニークな経歴の持ち主だ。

 

 Tallaはワシントンポストやフォーブス等の大手メディアで紹介されるなど注目を集めている。 Tallaが開発するのは、人事部の仕事を効率化するチャットボットAIだ。

 

 TallaのAIもまたSlack等で使用でき、研修コンテンツや製品情報、社内システムについてなど、多くの社員が学ぶ必要がある知識を効率的に理解するためのサポートを行う。

 

 研修コンテンツや製品情報、社内の各種手続き/ルールなどなどを登録した上でアプリやウェブを通じてなど知りたいことを、チャットボットで送ると、Talla のAIの自然言語処理により文章に含まれるキーワードと事前学習したコンテンツのデータを照合し、適切な回答を即座に提示する。

 

 TallaのAIチャットボットを利用することで同じような知識を得てもらうための研修などを個別に行う必要がなくなり、生産性の高い仕事に集中できるようになる。

 

 さらに社員がチャットボットで行った質問やリクエストなどを見ることができ、そのため、社員が欲している情報/知識やよく使うコンテンツを把握することができ、重点的に情報提供を強化するべき領域が分かるようになる。

 

 

3.AI活用による人材育成の試みの拡大

 

 今回の記事では米国の2つのソリューションを紹介してきたが、それ以外にも多様なアプローチでAIを活用した人材開発を試みるソリューションの開発と導入が進み始めている。

 

 ビジネスの変化のスピードが速まる中、企業が従来型の定型的な一律研修でメンバークラスからマネージャーまで適切な人材開発を実現することは困難であり、AIなどのテクノロジーをフル活用した効率的な人材育成の仕組みが求められている。

 

 国内においてもRPAやAIによる業務効率化の進展に伴い、既存社員の再配置や新たな能力開発を効果的かつ迅速に進めるためにこうした人材開発におけるAI活用も本格的に検討を進めるべきタイミングに来ているのではないだろうか。

 

 

 

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執筆者

株式会社ベルテクス・パートナーズ

AI/INNOVATION SOLUTIONチーム

 

大手通信会社、総合商社、大手メディア企業、クラウドベンダーなど多様な業種でのAIプロジェクトの推進支援や新規事業創出推進支援を実施。各メンバーの支援実績や知見の活用と外部パートナーとも連携しながら業種を問わず大手企業におけるAIプロジェクトを推進や、新規事業/イノベーション創出に関連するソリューションを提供。

 

監修者

株式会社ベルテクス・パートナーズ

執行役員パートナー 東條 貴志

 

スタートアップでの新規事業立ち上げや事業責任者などの経験と、アーサーアンダーセン、ローランド・ベルガーなど複数ファームでの10数年のキャリアに基づく先端領域における大手企業の新規事業・イノベーション創出支援やAI/機械学習を活用した事業創出/業務改革に多数の経験を有す。

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