オープンイノベーションで公共機関攻略の企業連合作りを目指すCitiの事例

Citiがオープンイノベーションで目指す公共機関向けサービス創造の事例

 

 世界160カ国で銀行業務を展開するグローバルな金融機関の米Citiが、公共機関が抱える透明性、効率性といった課題解決に向けた取り組みをオープンイノベーションで推進している。

 

 大手IT企業など30を超える企業と連携してアクセラレータープログラムを運営し、スタートアップや公共機関向けにサービス提供を行うテクノロジー企業と協業して、公共機関が抱える課題の特定と、その解決に向けた新たなソリューション/サービス創出を目指す事例となっている。

 

 

1.Citiが「The Citi Tech for Integrity Challenge」を立ち上げ

 

 2017年2月、Citiがグローバルで様々な公共機関が共通して抱える課題解決に取り組むアクセラレータープログラムを発表した。

 

 オープンイノベーションで企業連携を目指すプログラムの発表にあたっては、2ヶ月にわたってCitiがリサーチを行い、公共機関がグローバルで共通して抱える解決するべき課題(Pain Point)として8つのテーマが発表された。

 

 これらのテーマでの課題解決をオープンイノベーションで実現できるサービス/ソリューションを持つスタートアップやテクノロジー企業の募集を行っており、2017年3月6日まで申込みが受け付けられている。

 

 本プログラムは、Citiが推進してきたグローバルなビジネスコンテスト形式のプログラムの一貫として実施が発表されている。

 

 これまでにデータ解析やモバイル、スマートワークといった分野でのテクノロジー活用に関するビジネスコンテストが行われてきた。

 

 「The Citi Tech for Integrity Challenge」では、応募企業が、公共機関の課題解決を実現するサービス/ソリューションを開発していくためのインフラとサポートを提供し、最終的には公共機関への導入/拡大を実現するオープンイノベーションを進めるプログラムとしていくことを目指している。

 

 

2.IBM、MS、Mastercardなどと連携したアクセラレータープログラム

 

 Citi主導で進められているプログラムではあるが、実施に当たっては、技術/インフラ面で参加スタートアップをサポートすることが可能な企業と連携して運営を行っている。

 

 例えば、プログラムへの応募企業は、参加にあたってIBMのPaaSクラウド基盤のBlue Mixやブロックチェーン関連の技術活用や、Microsoftのソフトウェア、開発ツールやクラウド環境などが使えるBizSparkといったサービスを利用や、Mastercardのオンラインペイメントの技術などが提供される。

 

 本プログラムは、参加する大手IT企業などとスタートアップがその技術とアイデアを集めて協業を行い、公共機関の課題に取り組んでいくグローバルなオープンイノベーションプラットホームとなっていく事を目指している。

 

 

3.公共機関向けサービスに挑む企業とサービス/ソリューション創出

 

 本プログラムでの応募企業の募集に先立って、Citiは2ヶ月にわたって公共機関が抱える課題(Pain Point)の特定のリサーチに取り組んだ。

 

 その結果は43ページにも渡る読み応えのある「Citi Tech for Integrity Challenge, (T4I) Integrity Pain Points」いうレポートとして発表された。 

 

 そのリサーチ結果から設定された8つのテーマは以下の通りだ。

 

1.Government Transaction

2.Culture, Ethics & Engagement

3.Public Procurement

4.Information, Security & Identity

5.Crisis Management & Aid

6.Paper, Cash and Manual: Cutting The Red Tape

7.Analytics, Reporting & Transparency

8.Financial Crimes

 

 広範な領域で課題解決を目指すテーマを設定しており、Citi単独で課題解決に向けたサービス/ソリューション提供を行うことは困難である。

 

 アクセラレータープログラムという形で連携企業やプログラム参加企業と協業して、これらの課題解決に向けたサービス/ソリューション開発を行い、公共機関への提案・導入が可能な企業を発掘することを目指してCitiとしては本プログラムを立ち上げていると考えられる。

 

 プログラムに応募する企業は、上記のテーマを自社の持つテクノロジー/アイデアでいかに解決できるかを模索していく。

 

 応募の結果選出された企業は、1ヶ月間、プログラムの連携パートナーであるPwCのオンラインクラスへの参加でアイデアを磨き、2分間のビデオプレゼンを提出してアワードの獲得を目指す。

 

 

4.市場開拓、顧客開発を担うアクセラレータープログラム

 

 アワードの選出にあたっては、6つの評価基準が設定されている。

 

1.Global Reach

2.Innovation

3.Scalability

4.Integrity Impact

5.Functionality

6.Implementation Feasibility

 

 これらの基準を見る限り単なるアイデアコンテストに留まらずサービス/ソリューションとして導入できるものになっているかということまで視野に入れた評価を行おうとしている。

 

 参加企業のサービス/ソリューションを発表するデモデイは、世界の複数都市で実施される事となっており、ブエノスアイレス、ダブリン、ハイデラバード、メキシコシティ、シンガポールにて、5月から6月にかけて行われる事となっている。

 

 このプログラムを通じて発掘された有望企業はCitiと連携企業のネットワークを通じてサービス/ソリューションを拡大させていくことが可能になる。

 

 その中から公共機関向けに共同でサービス提供可能な有望企業を発掘することができれば、Citiとしてもオープンイノベーションによる新しいビジネスを生み出すことができるという狙いがあると考えられる。

 

 事業拡大/攻略を狙う業界を定めてテーマを設定し、そこでの有望なサービス/ソリューション開発を実現する手段としてアクセラレータープログラムを活用するというプログラム運営は金融機関だけではなく、多くの業種でも応用可能な取り組みであり、実利を追求するオープンイノベーションを行うアクセラレータープログラムの運用形態の一つとして非常に有用な取り組みと言えるだろう。

 

 

 

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執筆者

株式会社ベルテクス・パートナーズ

INNOVATION SOLUTIONチーム

 

大手通信会社、総合商社、大手メディア企業、クラウドベンダーなど多様な業種での新規事業創出推進支援を実施。各メンバーの支援実績や知見の活用と外部パートナーとも連携しながら業種を問わず大手企業における新規事業/イノベーション創出に関連するソリューションを提供。

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