デュポンの二刀流のプログラムで進めるアグリイノベーションの事例

デュポンの農業分野でのアクセラレータープログラムとCVCの使い分け

 

 2016年に化学品メーカー大手のデュポンが他化学品メーカーやベンチャーキャピタルと共同でアグリイノベーションを推進するべく、農業分野のアクセラレータープログラム「Radicle Accelerator」の運営を開始。

 

 2003年よりデュポンはコーポレートベンチャーキャピタルでベンチャー企業へ出資し、協業を行ってきた。

 

 それに加えて、なぜさらにアクセラレータープログラムを運営することにしたのか?その背景に迫る。"

 

 

1.絶え間ないイノベーションで2世紀以上も生き残ってきたデュポン

 

 1802年、米国で火薬製造メーカーとして出発したデュポン。2世紀以上経った現在は世界70か国以上に製造、営業、研究の拠点を持つグローバル企業に進化を遂げた。

 

 2世紀以上にも渡り競争の激しい米国で生き残っている企業は珍しい。デュポンはどのようにして生き残ってきたのか。

 

 その答えは時代の変化に合わせたニーズの汲み取り、そしてニーズに応えるための絶えまない研究開発によるイノベーション創出にある。

 

 デュポンは火薬メーカーから化学メーカーに事業転換し、一挙にグローバル展開を進めて、近年は高付加価値のバイオ、農業、高機能素材産業において事業の柱を築くことに注力している。

 

 近年はベンチャー企業への出資、協業を加速させ最先端のテクノロジーなど外部のイノベーションを自社に取り込んでいる。

 

 

2.デュポンのCVC「DuPont Ventures」

 

 デュポンは2003年、コーポレートベンチャーキャピタル(以下CVC)「DuPont Ventures」を設立した。農業、クリーンテクノロジー、栄養補助食品、建築材料、電子部品の素材、安全素材、工業用バイオテクノロジー、などデュポンの全ての事業領域を対象としてベンチャー企業への投資を行う。

 

 そして、これまでに自社が培ってきた膨大な研究成果、エンジニアリング、生産技術などの自社リソースを活用して有望なベンチャー企業の製品・サービスを育成、既存リソースを活用して協業することで自社のコア事業の強化を図っている。

 

 農業領域でのアグリイノベーションを目指した投資/協業推進などもDupont Venturesが取り組みの受け皿となっている。

 

 

3.アグリ領域のアクセラレータープログラム「Radicle Accelerator」

 

 デュポンの農業分野の子会社Dupont Pioneerは、ドイツの化学メーカーのバイエル、農業分野のベンチャーキャピタルFinistere Venture、エクイティ・インベスターのCloud Break Advisors、投資型クラウドファンディングプラットフォームOurCrowdと共同で農業をテーマとしたアクセラレータープログラム「Radicle Accelerator」を運営している。

 

 デュポンはRadicle Acceleratorの運営に参加することで有望な農業ベンチャー企業、関係各社との協業の機会を増やし、これまでにないアグリイノベーションの創出を狙っている。

 

 Radicle Acceleratorでは農業の生産性向上、サスティナビリティ、農業作物の品質の向上を目的にアーリーステージのアグリベンチャー企業を募る。

 

 対象領域は効率的でデータドリブンな農業経営のためのビッグデータ活用などのデジタル領域の他、ゲノム科学、植物科学、種子科学、作物保護のためのバイオ製品など多岐に渡る。

 

 Radicle Acceleratorに選抜されたベンチャー企業は広範なネットワーク、リソースが提供され、農業専門家・農業分野の起業家のメンタリング、バイエルやデュポンとの協業、民間の研究機関やカリフォルニア大学やクイーンランド大学など大学の研究所のネットワーク、50万ドルの出資が提供される。

 

 

4.CVCとアクセラレータープログラムを使い分ける取り組み

 

 デュポンはCVCのDuPont Venturesを通じて、アグリベンチャー企業への出資と協業により、農業領域を含むデュポンのほぼすべての事業分野で事業強化を進めている。

 

 CVCによるの農業分野への投資、協業推進の取り組みに加えて、CVCで投資を行うステージに達していないアグリイノベーションに取り組む最先端技術をもつベンチャー企業との協業機会創出のため、他化学メーカーやベンチャーキャピタルと共同でアーリーステージのスタートアップを対象にアクセラレータープログラムRadicle Acceleratorを運営している。

 

 このように協業対象スタートアップのステージによって同じ農業分野への投資/協業推進でもCVCとアクセラレータープログラムを使い分けている 。

 

 特定の領域でオープンイノベーション/新規事業創出を目指す場合でも、協業スタートアップのステージによってCVCとアクセラレータープログラムを使い分けは新たなイノベーションを起こす上で有効な方法論となるだろう。

 

 

 

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執筆者

株式会社ベルテクス・パートナーズ

INNOVATION SOLUTIONチーム

 

大手通信会社、総合商社、大手メディア企業、クラウドベンダーなど多様な業種での新規事業創出推進支援を実施。各メンバーの支援実績や知見の活用と外部パートナーとも連携しながら業種を問わず大手企業における新規事業/イノベーション創出に関連するソリューションを提供。

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