新たなアクセラレータープログラムの形式に挑むNFLのオープンイノベーション事例

NFLが挑戦する、枠組みを定めない新たなオープンイノベーション事例

 

 アメリカンフットボールの最高峰リーグである米NFLにおいて、選手のライセンス管理などを行う団体NFL Players Association(以下「NFLPA」)が2016年末からアクセラレータープログラムの運営を開始した。

 

 このスポーツ選手、スタートアップ、ベンチャーキャピタルの3者が協業する、新たな形のオープンイノベーション事例について見てみよう。

 

 

1.NFLPAが2016年12月にアクセラレータープログラムを立ち上げ

 

 NFLPAはKleiner Perkins Caufield & Byers(KPCB)Madrona Venture GroupといったVCなどと組み、新たなアクセラレータープログラム「ONETEAM COLLECTIVE」の運営を開始した。

 

 NFLPAのオープンイノベーション推進プログラムに参加するスタートアップ企業にはVCからのメンタリングに加え、同じくパートナーであるハーバード大学のHarvard Innovation Lab が、キャンパスの施設利用やハッカソンなどのイベントへの参加機会を提供する。

 

 ONETEAM COLLECTIVEの特徴のひとつは、従来のアクセラレータープログラムのような特定のプログラム実施期間が設定されていないことだ。

 

 スタートアップはいつでもプログラムに応募することができ、都度スタートアップのアイデアや技術の評価を行い、プログラムとして支援を行うかの審査が行われる。

 

 協業アイデアなどの成果を発表するピッチなども、NFLの試合やイベントに合わせて随時実施することが予定されている。

 

 また、募集対象となるテーマも、データ分析やウェアラブル、VR・ARといった先端技術に関するものから、トレーニング、スポーツ栄養学といった選手のサポートを行うもの、ゲームやグッズといったファン向けのサービスに関連するものなど多岐に渡る領域でオープンイノベーションの実現を目指している。

 

 募集対象となるスタートアップの条件などにも細かな縛りはなく、枠組みを定めないフリーな運営形態となっている。

 

 

2.スポーツ選手、スタートアップによる新たなオープンイノベーションの形

 

 選ばれたスタートアップはパートナーVCからのメンタリングや出資を受けることができる他、2,000名以上いるNFL選手への直接のコンタクトやライセンスの使用が可能となる。

 

 これにより、例えばNFLのスター選手を起用したVRゲームやフィットネスアプリといったコンテンツの開発が考えられる。

 

 NFL選手のライセンスを活用した商品/サービス開発を行おうとした場合高額なライセンス利用料が必要となり、スタートアップが手掛けることは非常に難しい。

 

 しかし、ONETEAM COLLECTIVEの枠組みを利用すれば、プログラムの一環としてNFL選手のライセンスを無償/格安で利用した商品/サービス開発を行うことが可能になる。

 

 NFLPA側としても、これまで資金力のある大手企業のみが手掛けている選手の広告/番組出演やコラボ商品の販売といった定番のライセンス利用だけではなく、スタートアップならではの新たなアイデアによるライセンス活用で、ライセンスを活用した収益拡大機会が広がるメリットがある。

 

 また、プログラムの応募/支援期間を限定していないので随時、スタートアップを集めることができるため、応募期間や支援期間のタイミングが合わなかったために有望なスタートアップから応募を見送られてしまう機会損失を減らせることがメリットになると言える。

 

 従来のアクセラレータープログラムでのオープンイノベーション事例では、期間を決めて募集と支援を行うことにより集中してスタートアップの育成/協業機会の模索を行うということが通常であったが、イベント形式で行うため高コストになりがちであるということと、募集期間中に応募してきたスタートアップから協業/出資先を選ばなければならないという機会損失の可能性がデメリットとして存在している。

 

 ONETEAM COLLECTIVEでのプログラムの枠組みでは随時募集という形式のため、有望なスタートアップと協業を行うためには、応募してきたスタートアップの目利き力が運営側に問われ負担が重たくなってしまうが、その時々での有望スタートアップを取りこぼすことなく検討を進めることができるということは大きなメリットになると言えるだろう

 

 そして、ピッチでの発表も通常の企業のプログラムではデモデイをイベントとして発表することで内外の注目を集めるという取り組みが必要になるが、NFLのように試合やイベントを随時、実施していることでデモデイのような特別なイベントを改めて設定しなくてもよいという点で、ONETEAM COLLECTIVEのような形式でのピッチを実現していると言えるだろう。

 

 これまでアクセラレータープログラムと言えば、期間を決めて行うイベント形式による取り組みも多くなる中で、ONETEAM COLLECTIVEのような形式に限らず、新たな形式のプログラムを模索する企業/組織が増えていくのではないだろうか。

 

 

 

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執筆者

株式会社ベルテクス・パートナーズ

INNOVATION SOLUTIONチーム

 

大手通信会社、総合商社、大手メディア企業、クラウドベンダーなど多様な業種での新規事業創出推進支援を実施。各メンバーの支援実績や知見の活用と外部パートナーとも連携しながら業種を問わず大手企業における新規事業/イノベーション創出に関連するソリューションを提供。

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