フィリップスの新しいビジネスアイデア探索での地域別イノベーションプログラム

多様なアライアンスでヘルスケア領域での新しいビジネスアイデア探索

 

  欧州の大手電器メーカーフィリップスは、近年ヘルスケア事業に力を入れており、様々な方法でスタートアップとの協業に取り組み新しいビジネスアイデアを生み出すことに取り組んでいる。

 

 グローバルでフィリップスが手掛ける多様な地域別のイノベーション創出/新しいビジネスアイデア探索の取り組みについて、詳しく見ていこう。

 

 

1.家電からヘルスケア事業へシフトするイノベーションアプローチ

 

 フィリップスといえば、日本ではシェーバーや電動歯ブラシの印象が強いかもしれないが、19世紀末に電球メーカーとしてオランダで誕生している。

 

 その後総合エレクトロニクスメーカーとして多角的な事業展開をしてきたが、1990年代から事業の選択と集中に梶を切り、TV・オーディオ部門の売却やヘルスケア事業の買収など積極的な事業ポートフォリオの刷新を行ってきた。

 

 現在は祖業である照明事業と、医療機器や理容家電などのヘルスケア事業を中心とした展開となっている。

 

 そのヘルスケア事業でフィリップスが力を入れているのが、最新のテクノロジーを取り入れたイノベーションの創出だ。

 

 しかし、ヘルスケアという領域は、各国の規制の影響を大きく受け、また各地域の医療・生活水準などによりニーズも異なってくる。

 

 そこでフィリップスは複数のアライアンスモデルを使い分けることで、それぞれの地域に最適な形でスタートアップ探索を行い、イノベーションの創出を目指すというアプローチを取っている。

 

 

  自社単独型:

ケニアなどにインキュベーションラボを設置

 

 フィリップスはヨーロッパをはじめ、バンガロールや上海などにリサーチラボを構えている。加えて、2014年にケニアにThe Philips Africa Innovation Hubを設立。

 

 このインキュベーションラボはアフリカ全体を対象とし、現地スタートアップ企業のプロダクト及びサービスの実証実験を支援している。

 

 協業テーマは「肺炎診断のための自動呼吸速度モニター技術」、「母親と子どもの死を減らすための、遠隔診断システム」など、アフリカの国々が抱える課題解決につながるテーマを中心に新しいビジネスアイデアの探索を行っている。

 

 このラボではフィリップスが自社でメンタリングを行うため、スタートアップとの協業に向け丁寧なサポートが可能となっている。

 

 

  現地インキュベーター協業型:

シンガポールのEDBIと共同でアクセラレータープログラム主催

 

 シンガポールでは、現地のインキュベーターEDBIとアライアンスを組み、アクセラレータープログラムを主催する。

 

 ここではシンガポール政府が掲げる「病院から在宅・コミュニティケアへ」という方針に沿った、デジタルヘルス領域のエコシステム構築をテーマとしている。

 

 その国の政府の方針や規制に詳しい現地のインキュベーターと組むことで、フィリップスが自力で探索することが難しいスタートアップの探索・育成を行い、新しいビジネスアイデアを生み出すことに貢献していると推測される。

 

 

  コンソーシアム参画型:

ヘルスケア×デジタルをテーマにしたベルリンでのスタートアップ支援プログラムに参画

 

 フィリップスはシードアクセラレーターが主催するアクセラレータープログラムのStartupbootcamp Digital Health Berlinにスポンサー兼メンターとして参画している。

 

 他にもArvato Bertelsmann(フィンテックソリューション)、Deutsche Apotheker- und Ärztebank(医療従事者向け銀行)、Munich RE(保険)、Sanofi(製薬)の4社が参画するコンソーシアムとなっており、2016年度は「Remote Monitoring」、「Personalized Medicine」などヘルスケア×デジタルをテーマにスタートアップ10社を支援。

 

 2017年2月に最終デモが予定されている。このようなコンソーシアム式でのアクセラレータープログラムは、スタートアップにとって幅広い協業可能性が生まれるため、より多くのスタートアップの応募を集めることができる。

 

 メンターとして参画するフィリップスにとっても、幅広いスタートアップとの協業による新しいビジネスアイデア模索の場とすることが可能だ。

 

 

  スポンサー型:

グローバルに開催されるビジネスコンテストのスポンサーとして参加

 

 フィリップスはアクセラレーターの1776が主催するビジネスコンテストChallenge Cup Competition and Challenge Festivalのスポンサーも務めている。

 

 アクセラレータープログラムではないため、参加スタートアップへのメンタリングを行うことはなく、全世界50都市での1次予選から、9地域での2次予選、そして最終審査と、グローバルに選抜を勝ち抜いてきた有望スタートアップを発掘することができる。

 

 

2.地域毎に最適化したアライアンスで新しいビジネスアイデア創出を加速

 

 フィリップスは各地域のスタートアップのビジネス環境に合わせて最適なイノベーションプログラムを提供できるアクセラレーターやインキュベーターなどとアライアンスを行い、地域毎に最適化したイノベーション創出プログラム運営または、プログラムへの参加を行ってい新しいビジネスアイデアの創出を目指している。

 

 グローバルにイノベーション創出プログラムを実施する場合には、一律で同一のプログラムを実施するということもグローバル企業では見られるが、地域ごとにスタートアップのビジネス環境、市場環境を見た上で最適なプログラム運営が可能なパートナーと組むというのは手間もかかるが、きめ細かく成果を出すことを目指す上では有効な手段となるだろう。

 

 

 

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執筆者

株式会社ベルテクス・パートナーズ

INNOVATION SOLUTIONチーム

 

大手通信会社、総合商社、大手メディア企業、クラウドベンダーなど多様な業種での新規事業創出推進支援を実施。各メンバーの支援実績や知見の活用と外部パートナーとも連携しながら業種を問わず大手企業における新規事業/イノベーション創出に関連するソリューションを提供。

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