独重電大手シュナイダーの研究開発でのオープンイノベーションの取り組み事例

研究開発の変革を目指すシュナイダーのアクセラレータプログラム事例

 

  欧州の大手重電メーカー、シュナイダーエレクトリック(以下シュナイダー)は、エネルギーマネジメント分野のリーディングカンパニーだ。

 

 次なる機会となるIoT分野のビジネスモデル構築のために取った戦略は、アクセラレータプログラムを活用した研究開発の変革だ。

 

 シリコンバレー・イノベーションプログラムのスタートから、シュナイダーのイノベーション創出の戦略をひも解く。

 

 

1.シュナイダーが目指す「エネルギーマネジメント×IoT」イノベーション

 

 エネルギーマネジメント/オートメーションで知られるシュナイダーは、2015年度には300億ドルを超える売上を記録。16万人を超える従業員を抱えて、100カ国を越える国で事業展開するグローバル企業だ。

 

 シュナイダーが得意とする、ソフトウェアを活用したエネルギーマネジメントは、IoT分野の新規事業の創出が模索されている領域だ。

 

 シュナイダーはこれまでに、安全かつ効率的なエネルギーマネジメントの手法を開発して優位性を獲得してきたが、テクノロジーやソフトウェアの進歩により、既存のオペレーションのさらなるイノベーションが求められている。

 

 

2.シリコンバレー・イノベーションプログラムをスタート

 

 これまでシュナイダーは、主に研究開発主導で社内での新規事業の展開を行ってきたが、ここにきてアクセラレータプログラムを活用したオープンイノベーションの取り組み推進をスタートすると発表した。

 

 シュナイダーは、都市化・電化・デジタル化をテーマに事業展開をしてきたが、IoTによるさらなる事業拡大を狙っている。その切り札としてスタートしたシリコンバレー・イノベーションプログラムは、IoTとエネルギーマネジメントに特化したアプリをテーマとしている。

 

 開催地はシリコンバレーで、Silicon Valley Innovation Centerが運営を行っている。 シュナイダーは、プログラムスタートの目的を「スカウト」であると明言する。

 

 自社のアセットを活用して、周辺領域での事業立上げを目指すために、パートナーとして相応しいスタートアップの発掘を目指しているのだ。エネルギ―マネジメント分野でのイノベーション創出のための人材獲得、ビジネスモデル開発、ソリューション開発がシュナイダーの目的だ。

 

 プログラムでは、シュナイダーが約50億円程度を投資しているVCのAster Capitalとも協働しており、ノウハウ面での支援に加えて、出資を通じたパートナーシップも視野に入っていると言えるだろう。

 

 

3.プログラムで選出されたスタートアップの顔ぶれ

 

 プログラムの開催に当たって、シュナイダーは候補となりうる200社程度のスタートアップとコンタクトしたと明かしている。

 

 その中から有望なスタートアップを10社選出し、7社とのパートナーシップが実現した。実際にすでに2社とは協業による事業化がスタートし、3社とは事業化のコンセプトが出来上がった状態にあるという。

 

 ここでは2016年選出スタートアップのうち、実際に事業化コンセプト作りまで実現したスタートアップ3社を紹介しよう。

 

  Digital Lumens 

センサーをとりつけたLEDライトのソリューションを提供。エネルギー利用を節約したビルのファシリティマネジメントのため、電気利用の削減により90%程度のエネルギー費用のカットが実現できる。またセンサーによって集めたデータにより、ビルのより効果的な活用のためのソリューションを提供している。

 

  PlanetEcosystems Inc.

エネルギー・ソリューション特化の顧客管理システム。家庭内において、複数の異なるエネルギープロバイダーの情報を統合し、エネルギー利用の最適化の実現をサポートする。実際のエネルギーの状態を正確に把握できるため、顧客のエネルギー利用の満足度の向上につながる。

 

  OhmConnect 

エネルギー利用のデータ、請求書のデータから、ピーク時のエネルギー利用の状態を割り出し、エネルギー利用削減、ピーク時のエネルギーコントロールを実現するサービスを運営。またニーズに応じたオンデマンド型のエネルギー利用のプラットフォームを提供している。

 

 

4.アクセラレータプログラムで研究開発からイノベーション創出

 

 シュナイダーがプログラムをスタートした背景には、世の中の変化のスピードに対応するべく、自社の研究開発の能力を超えてイノベーションを起こしていく必要性があった。

 

 イノベーション創出に向けた自社の課題を整理した上で、スタートアップとの恊働による課題解決を目指している。

 

 実際に選出されたスタートアップは、すでに事業化を実現しているフェイズのスタートアップであり、すぐにシュナイダーとの協業が見込める事業領域でサービスを展開するスタートアップが選出されている事が分かる。

 

 シュナイダーは、自社の研究開発単独で新規事業行うのではなく、スタートアップとの恊働も研究開発のプロセスに取り込もうとしている。シュナイダーが自ら発掘したスタートアップと協業して、エネルギーマネジメント分野における優位性を揺るぎないものとすることをプログラムの目的としている。

 

 スタートアップとの協業によるオープンイノベーションを研究開発のプロセスに取り込むべく、アクセラレータプログラムを積極的に活用するイノベーションの取り組みは、自社研究開発リソースを超える成果を目指す取り組みとして試金石となる事例と言えるかもしれない。

 

 

 

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執筆者

株式会社ベルテクス・パートナーズ

INNOVATION SOLUTIONチーム

 

大手通信会社、総合商社、大手メディア企業、クラウドベンダーなど多様な業種での新規事業創出推進支援を実施。各メンバーの支援実績や知見の活用と外部パートナーとも連携しながら業種を問わず大手企業における新規事業/イノベーション創出に関連するソリューションを提供。

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